魅惑のランジェリーエッセイ 上流下着のつどい Upper Inner Salon|ワコール

20 Jun, 2014

ワコールの「からだ美」展をレポート!

からだと下着とワコールの歴史がつながった。

 大阪の阪急うめだホールで、ワコールのユニークな展覧会を見てきました。タイトルは「Beauty history、Beauty forever〜変わる美しさ、変わらない美しさ〜時代に磨かれる『からだ美』」展。4つのセクションに楽しい仕掛けがちりばめられ、わくわくしながら回遊できる趣向。マニアックなクイズラリーに挑戦すれば、抽選でギフトカードが当たるプレゼント企画まで用意され、幅広い年代のお客様でにぎわっていました。
 最初のセクションのテーマは西洋の下着の歴史。京都服飾文化研究財団(KCI)が収蔵する18 世紀から20世紀前半のドレスと下着が、宮廷舞踏会風に展示されていました。当時のドレスの華やかさは、バストを強調しウエストを極限までしぼるコルセットや、スカートを大胆に広げるパニエがあってこそ。その威力を目の当たりにし、優雅に微笑みながらステップを踏むのも大変だっただろうなと想像してしまいました。

 2つめのセクションは戦後から現在までの日本の下着の歴史。これはそのまま、西洋の下着を日本に広めたワコールの歴史ですね。時代に影響を与えたレトロセクシーなスター下着が並び、昔のCMや広告コピーに学ぶものも多かったです。ワコールが創業時、初めて取り扱った「ブラパット」もありました。針金をらせん状に巻き、布をかぶせてバストの形を演出するエポックメイキングなアイテムで、コルセットとともに飛ぶように売れたそうです。
 3つめのセクションはワコールのものづくりと計測技術の歴史。創業社長の言葉が印象的です。「洋装にとって下着は大事な役割を持っています。着物が静的であり、直線的であるのに対して洋装は動的であり、曲線をシルエットとするからです」(1955年ワコールニュースより)。ブラのカップに渦巻状のステッチを自動縫いする1954年の画期的なミシンが鎮座し、立体としての身体を職人技と人間科学の両面から探求してきた歴史の重みを感じました。

サスペンスドラマを演じるマネキンたち。

 階段上のステージで繰り広げられる最終セクションは、サスペンスアートがテーマ。自在なポーズが可能なリアルマネキンたちが、トレフルとスタディオファイブの新作コレクションをまとい、サスペンス映画の登場人物を演じているという設定です。8つのシーンの中でも特にくぎづけになったのが、バスルームとベッドルーム、そして雨のシーン。セクシーなドラマ仕立てでランジェリーを鑑賞するなんて、興奮の体験でした。
 シャワーの音が漏れてくるバスルームは、のぞくだけでドキドキするし、赤いランジェリーが映える妖しいベッドルームは、プレイアイテムやシャンパンが妄想をかきたてます。雷鳴がとどろく夜の雨のシーンでは、街灯の脇で男女が抱き合い、濃密なキスをかわしているではありませんか。男性はブラックスーツ、女性は黒の下着とブーツの上に透明のレインコートを着た姿で。脇に投げ捨てられた透明の傘までがセクシーに見えたのでした。

4つのセクションは互いにリンクしていました。洋装の動的なシルエットに着目し、立体的な下着を日本に広めたワコールですが、その進化の功績は歴然としています。現代の下着は舞踏会どころか、突然のラブアフェアへの対応まで求められるのですから(コルセットとパニエで雨の中抱き合ってキスするのは痛そうだし無理っぽい)。今の私たちは、激しい動きや気候の変化に対応する柔らかい下着を当たり前のように身につけています。
 18世紀のドレスをまとったマネキンと、サスペンスを演じる現代のマネキンの思いはつながっています。からだを立体的に美しく見せたいという女性の願いは普遍的なものなのでしょう。3つめのセクションでは、トルソーに映し出したプロジェクションマッピングで身体計測技術の進化を見せていましたが、バーチャルな着せ替えみたいで面白かったです。こんなふうに、新作ランジェリーの立体試着が次々とできたらいいですね!

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