定例研究会レポート

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アジアにおける乳房観 Part2 
--アジア ブラジャー 売る人・買う人
2014年6月7日(土)

アジアにおける乳房観 Part2 

■アジアにおける下着市場
 関口 満 氏 (株式会社ワコール 国際本部 事業管理部長)
■アジア各国の下着購入実態調査 
 ~アンケート調査のまとめ・報告~
 小池 栄里花 氏 (滋賀県立大学 人間文化部 国際コミュニケーション学科3回生)

■公開討論会
・コーディネータ :実川 元子 運営委員
          (フリーランスライター・翻訳家)
・パネラー:日本に留学されているアジア各国出身の方々
      (中国)高 文寧さん、張 津さん、許 昕さん
      (韓国)韓 貞 媛さん、孫 洗美さん、李 貞旼さん 
      (インドネシア)Lidwina Andariniさん (台湾)吳 蓓郁さん
      関口氏、小池氏


「下着やからだに対する意識や文化について、アジア各国でどのような多様性があるか」というテーマのもとに研究会を開催しました。講師は、株式会社ワコール国際本部の関口満氏、滋賀県立大学3回生の小池栄里花氏、そして、公開討論会として実川元子委員と日本国内に留学生しているアジア各国出身の学生8名の方に下着や身体について自由に話をしていただきました。

関口氏からは下着を売る人の立場から、アジア進出の歴史、経緯と現在展開しているアジアの商品について説明していただきました。1970年から韓国、タイ、台湾、1980年代にシンガポール、香港、中国、フィリピン、インドネシア、1990年代にベトナム、2000年代にマレーシアへ進出し、「地産地消」を基本的な考え方として、現地の女性達に喜んでもらえるよう、現地で商品をつくり、現地で販売する、そこで得た利益を現地に還元していくことや日本以外のアジア市場ではTシャツブラと呼ばれるカップに縫い目のないモールドタイプの商品が圧倒的に多いことなどを紹介いただきました。
小池氏からは留学中のアジア出身の女子学生を対象に実施された「アジア各国の下着購入実態調査」を報告いただきました。統計的な比較には不十分なサンプル数との前提をお話された上で、日中韓の約10名の回答データから下着にかける費用、下着購入の決め手、カラー、デザインと使い分けの関係、ファーストブラの購入時期、体型に関する意識の結果を紹介いただきました。日中韓で違うところ、似ているところが色々あり、限られた調査人数ながら注目すべき点がいくつか見えてきたと思います。これを機会にさらに深く踏み込んだ調査が期待できます。
 研究会で初めての試みである、公開討論会を実施しました。中国、韓国、インドネシア、台湾の学生の方に登壇いただき、まず、自己紹介を兼ねて、日本の中で欲しいと思うブラジャーを買って来てもらい、気に入った点、自国のブラジャーとの違いを紹介いただきました。色の違い、買う場所、販売員のこと、ネット販売のこと、商品のタイプ、プレゼントの習慣のことなど色々な話題を自由に討論いただきました。会場からもいくつかの質問、回答があり、パネラーと会場が一体になり、国間の相違点だけでなく、同じ国でも世代による下着観、身体観の違いが垣間見えた感じでした。
 「アジアにおける乳房観」は、継続的に討論したいテーマのひとつとして、今後も取り上げていく予定です。       

(事務局長 岸本泰蔵)

                                   

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