魅惑のランジェリーエッセイ 上流下着のつどい Upper Inner Salon|ワコール

25 May, 2009

あばかれる下着

下着から始まるファッションの流行。

『ファッションから名画を読む』深井晃子(PHP新書)<br>見せ下着のルーツはルネサンス時代にあるなど、興味深い史実と図版が満載の一冊
『ファッションから名画を読む』深井晃子(PHP新書)
見せ下着のルーツはルネサンス時代にあるなど、興味深い史実と図版が満載の一冊

 突然ですが、あなたが今身につけている下着は、次のどれに近いでしょうか?
1) 誰にも見せたくない恥ずかしい下着
2) 誰に見せてもいいアウター的な下着
3) 特定の人に見せたいセクシーな下着
 毎日下着を選ぶとき、このように「見せたい度」「見えてもいい度」を考えるのも面白いかもしれません。そしてさらに、上流を求めるあなたなら、もう一歩踏み込んで<誰かを驚かせ感動させる斬新な下着>に挑戦してみるというのはどうでしょう。

 公には見せない下着姿があばかれることで、人々を驚かせ、流行の先鞭をつけた歴史上の人物がいます。『ファッションから名画を読む』という本を見てみましょう。女性宮廷画家ヴィジェ・ルブランが描いた『シュミーズ・ドレスを着たマリー・アントワネット』 (1783)には、簡素な白いモスリンのドレスに身を包む王妃の姿が。華麗な絹の服を着るべき彼女が、下着のようなラフな姿でくつろぐ絵は、スキャンダルを巻き起こし撤去されたそう。しかし、このタイプのドレスは、絹から綿への流行を先取りし、その後革命的に広がってゆくのです。くつろぎ着や下着は、ふだん見せないものだからこそ、次のファッションを決定するインパクトを秘めているのですね。

ラ・ペルラで、誰かを驚かせてみる?

 最近、ファストファッションという言葉をよく聞きます。流行を取り入れた服を素早く安価で生産し、生鮮食品のように短時間で売り切るビジネスモデルのことですが、これ、流行をリアルタイムに後追いするにはいいですよね。リーズナブルなのでリスクも少なく、今っぽいアイテムが手に入る。だけど、売れ筋商品ではなく、自分が本当にいいと思える<ドキドキするようなオリジナリティ>を発掘したい人にとっては、ものたりないと感じられることでしょう。安心感のあるファストカジュアルが流行している今なら、下着は逆に、少し豪華でリスキーなものを選ぶのが、マリー・アントワネット的な先取り感覚といえるのではないでしょうか。

 たとえば、ヨーロッパの芸術品を手に入れるような興奮と甘美な罪悪感が得られるのが、イタリアのランジェリーブランド「ラ・ペルラ」。写真のブラとショーツは、SF映画の原点といわれるフリッツ・ラングの歴史的名作『メトロポリス』(1927)からインスパイアされたシリーズです。私もこの映画に魅了された一人ですが、忘れがたい未来都市のイメージと女性ロボットの官能的なダンスをモチーフにした柄と知り、ほしくてたまらなくなりました。アジャストできる太いストラップやリボン使いなど、ディテールの可愛らしさも魅力。お店でちらっと見てみるだけで、ああこういう世界もあるのね、と心が洗われます。つまり、あなたの下着も、誰かを驚かせ、感動させる可能性があるということなのです! 下着選びって、奥が深いですね。

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