シャネルに選ばれたタオル。

服や下着を選ぶとき、デザインは重要なファクターです。が、遠目には素敵でも、近づいてよく見ると何となく安っぽくて、がっかりした経験はありませんか。しかも、たいていの安っぽさは価格にそのまま反映されています。安い服が安く見えてしまうのはなぜなのでしょう。そう、その答えは多くの場合が「素材」。デザインは一流ブランドのコピーをしやすいけれど、素材は簡単にはマネできないのです。
見た目はそれなりに流行が押さえられているのに、安っぽく感じられるものというのは、いま、とても多いですね。さわってみるとよくわかります。とくに下着やタオルは、肌に直接ふれることで、誰もが日々その感触を体験しているわけですから、質の違いを判断しやすいのではないかと思います。
着る側もつくる側も、センスのいい人は素材をおろそかにしません。ゼロからのクリエーションをおこなっているブランドにとって、そのゼロは布だったり、糸だったり。素材を見るだけで完成形が思い浮かぶというデザイナーは、まるで料理人のようですし、オリジナルの糸を紡ぐ行為は、自分の畑での野菜づくりを思わせます。
一流ブランドのコレクションの中では、肌触りがよさそうなリゾート向けのラインにそそられます。南仏のリヴィエラ海岸でおこなわれたシャネルのクルーズラインのショーでは、黒の水着に白いタオル地のジャケットを羽織るスタイルが注目の的に。これには、上質な綿で知られる日本のタオルメーカーの素材が使われたそうで、シャネルのジャケットがいきなり身近に感じられました。さすがに価格はカジュアルとはいきませんが。
ナチュラルで心地よい冬の綿。
個人的には、冬の素材選びは夏よりも慎重になってしまいます。理由はチクチク問題。ここ数年は、チクチクする心配のない、薄くて軽くて暖かい肌着「スゴ衣」に助けられています。毎年、どんな機能が新しくなるのかなと、その進化を楽しみにしているのですが、今年は、プレミアムコットンをたっぷり使った「天綿」というラインナップが登場しました。
化繊による機能の進化ではなく「冬に暖かい綿」という考え方がユニークですね。綿というだけで安心感があるし、1本の繊維が細くて長い希少な綿を使用しているため断熱機能が高く、空気をまとったような自然な暖かさなのだとか。実際にさわってみると、少し懐かしい感じもするやわらかさ。こういう進化の方向もあるんだなと嬉しくなりました。
「天綿」シリーズにはマフラー、ハラマキなどもあり、自在に組み合わせることで寒さに弱い部分を網羅することができます。エネルギーも自然なものが見直されている今、天然素材を取り入れたアイテムを身につけることは、資源を大切に使おうという謙虚な気持ちにつながっていきそうです。
今年の冬はどのくらい寒くなり、電気はどのくらい使えるのでしょう。不安はありますが、着るものできちんと対処していくことによって、寒い季節も積極的に行動できるような気がします。寒さに耐えられなくなったら、水着とタオル地のシャネル・ジャケットをバッグに詰めて、南国へ飛びたいものですがー