青が高貴な色である理由
長かった夏もようやく終わり、涼しい日々の中で落ち着いたスタイルが新鮮に目に映るオータムシーズン。今年のファッショントレンドは、何といってもクラシカルでしょう。フェルトのクロシェ帽やロンググローブ、ツイードのジャケット、ペンシルスカート、ソックスやタイツと合わせたいストラップシューズなど、レディーライクな貴婦人アイテムが気になります。
色のおすすめはブルー系。ミラノやパリの秋冬コレクションでもダークブルー、ネイビーブルー、スモーキーブルー、ピーコックブルーなど、さまざまな質感の青に存在感がありました。個人的には、夜間は黒に見えるくらいディープな濃紺にひかれます。光の加減で、黒にはない清純さや品格があらわになる瞬間がある。そんな魅惑的なカラーです。
ヨーロッパではもともと高貴な色の代表であるブルー。古代ギリシャの哲学者プラトンは「混色によって色を作り出すことは神への冒涜行為」と著書に書いています。動植物や鉱物など、自然から得られる天然の色にこそ価値があるというわけですが、中でもオランダの画家フェルメールが好んだ青色顔料のウルトラマリンブルーは別格。原料のラピスラズリは純金よりも貴重で、貧しい芸術家はこの色をめったに使えなかったそうです。
英国王室の公式カラーは紫を帯びた鮮やかなロイヤルブルーですが、かつて大英帝国が7つの海を支配したことから、海の青を王室の色に定めたのだとか。ネイビーブルーも、英国海軍(ロイヤルネイビー)の制服の色に由来しています。
ガールをお休みしてレディへ。
実際、ヨーロッパではブルー系のランジェリーがよく売れるそうです。日本では淡いピンクなどのパステルカラーが人気ですが、ヨーロッパではパステルカラーは子供の色という位置づけなのだと聞き、驚きました。ちなみにブラのデザインも、全体にレースをあしらったロマンチックなタイプより、シンプルなモールドブラにわずかな装飾やストラップで個性を出したものが主流。要するに大人っぽいんですね。
写真でご紹介したのは、フランスのセクシーなランジェリーブランドIMPLICITE(アンプリスィット)の秋冬コレクション。ブルー系の美しさは息をのむほどで、今シーズンのお買い物は迷わず「いつもの黒のかわりに濃紺を」「いつものピンクのかわりにスモーキーな水色を」という気分にさせられます。
メイクアップも、夏のブルーとは違う深いニュアンスで決めたいところ。ディオールの新しいアイシャドウのブルー系は、クリーミーな水色のパウダーベース、セミマットな紺色パウダー、ラメ入りのネイビーパウダーという3種のスモーキーブルーがセットで体験できる優れもの。ほとんど黒なのにネイビーのニュアンスが楽しめるネイルカラー「ブラックインク」もユニークです。
ピンクをベースにふっくら仕上げるガーリーなメイクも可愛いけれど、この秋はぜひ、ブルーの微妙な差異を楽しむクールなメイクを。眉は太めの一文字、笑顔はもちろん控えめに。ちょっとコワイかもしれませんが、乾燥が心配なこれからの季節、笑いじわの予防にもなり、一石二鳥ではありませんか!