美と知を味わいつくす空間が京都に誕生。
2016年10月6日、ワコール創業の地・京都に、美をテーマにした「ワコールスタディホール京都」が誕生しました。キャッチフレーズは「美的好奇心をあそぶ、みらいの学び場」。さっそく私も体験してきましたが、定期的に足を運びたくなるキャパシティの深さと、自在に活用できるフレキシビリティーに感激。今回は号外Extraとして、ここで繰り広げられる多彩なスクール講座や、独自に編集されたライブラリーの魅力に迫りたいと思います。
場所は、京都駅八条口の新しいランドマークとなった、ワコール新京都ビルの1階と2階。屋上には太陽光発電システムが設置され、夜間は「風にそよぐ光の絹衣」を思わせる繊細なLEDライトアップが映える建物です。周囲に竹が配されたエントランスを抜けると、そこは自然光をたっぷり取り入れ、木目の床や竹を生かした白い吹き抜け空間。パブリックスペース、ショップ、ギャラリーなどが有機的につながっている様子です。
会員限定のライブラリーとコワーキングスペースを利用したい方は、1日会員に申し込むか、1日利用券付きのスクール講座を受講するのがおすすめ。1ドリンク付きというのも嬉しいサービスですね。頻繁に通える方、セカンドオフィスのように利用したい方は、講座の割引やミーティングスペースを使える特典もある月会員に。会員以外の方も、パブリックスペースで、ライブラリーからピックアップされたおすすめ本を自由に閲覧できます。
私は、1日利用券付きのプレ講座を受講し、会員限定の施設とスペースを体験しました。美に関する3,000冊超の書籍が並ぶライブラリーは、段階的に8,000冊を収蔵予定。テーマ別に工夫された棚やディスプレイを眺めるだけで楽しく、希少なアート本や大判の写真集をゆったり広げられるテーブルや快適な椅子のおかげで、心ゆくまで本と戯れることができました。Wi-Fi利用可能なコワーキングスペースも、勉強や仕事に集中できる理想的な環境です。
美しい希少本やユニークな講座を体験。
受講したプレ講座は、ライブラリーの選書を担当したブックディレクター・幅允孝さんによる、本にまつわるお話でした。幅さんの仕事は、書店で人を待つのではなく、人が集まる場所に本棚をつくること。人と本の偶然の出会いや新しい関係をプロデュースする仕事なのだとわかりました。旅、日本、自然、体、食、ファッション、芸術など11のジャンルを掲げたこのライブラリーを訪れた人は、本を通じて多角的な美の世界にアクセスできるのです。
経年変化に耐える本、通常のルートやネット上では見つけにくい本もセレクトされ、興味は尽きません。幅さんのおすすめは、リチャード・ミズラック『On the Beach』から土門拳『古寺巡禮』、1950年の伝説の雑誌『フルール』まで多数。表紙の美しさや思いの強さを「見て見て!」とアピールしてくる魅力的な本たちは、人がさわることで血が通い、手にした人の心も美しく生まれ変わる。ここは、森林浴のようにブック浴が楽しめるオアシスです。
今後のスクール講座は「身体の美」「感性の美」「社会の美」についてさまざまな切り口で開催。秋冬のラインナップを見ると、山田五郎さんによる西洋絵画の美意識とエロティシズムに関する講座や、黛まどかさん監修の俳句の連続講座など、美的好奇心が刺激されるものばかり。茶の湯を学ぶ講座、京都の名品とテーブルコーディネイトを学ぶ講座、西陣織由来の糸でキラキラ小物をつくる講座など、地の利を生かしたテーマも網羅されています。
パブリックスペースでのオープニング・パーティを飾ったのは、手織り寿しで人気のAWOMB(あうーむ)のケータリング。地酒や地ワイン、お茶のお点前のコーナーもあり、からだの中から美しくなれる趣向でした。誰もが歓声を上げるほど素敵な化粧室も、特筆すべき魅力のひとつ。美を探究する場にふさわしいホスピタリティーといえるでしょう。輝く未来に向けて、一人ひとりがこれまで知らなかった新しい美の世界に出会えることを確信した一日でした。
■WACOAL STUDYHALL KYOTO(ワコールスタディホール京都)
https://www.wacoal.jp/studyhall/