ガルニエ宮のエッセンスを盛り込んだコレクション。
崇高かつ遊び心にあふれたコレクションで、いつも私たちの目と心を楽しませてくれるワコールディア。2018年秋冬のテーマに選ばれたのは、トータルクリエイターの神尾敦子さんが愛し、繰り返し足を運んでいるというパリ・オペラ座の「Opéra Garnier(オペラ ガルニエ)」でした。これは1875年、シャルル・ガルニエによって建てられた、歴史あるガルニエ宮のこと。豪華絢爛な装飾で知られるネオ・バロック様式の歌劇場です。
展示会の日、ワコールディア銀座店に足を踏み入れると、そこはまさにガルニエ宮の世界。黄金の間と呼ばれ、シャンパン片手に紳士淑女が贅沢な幕間のひとときを過ごす広間「グラン・ホワイエ」の雰囲気を、ダイレクトに味わえる演出で驚かせてくれたのです。ベルサイユ宮殿を彷彿とさせるゴージャスさに、新作コレクションの色とりどりのモチーフやレース柄、シックなオリジナルプリントが見事に調和していることに、まずは感動!
パリ・オペラ座はこれまで、さまざまな手段で表現されてきました。バレリーナの舞台裏を描いた印象画の画家エドガー・ドガ氏。フランス政府の依頼で建物の外観、衣装、宝飾品などを撮影した田原桂一氏。スタッフやキャストの日々の営みに密着し、ドキュメンタリー映画『パリ・オペラ座のすべて』を完成させたフレデリック・ワイズマン氏。はたしてワコールディアは、オペラ座のどの辺りに着目し、ファッションとして結実させたのでしょう。
「オレンジ色に光る蝋燭の灯り、大理石、幻想の鏡、重厚な赤たち、枯れたゴールド、華やかな舞台、黄金の音色、人々の語らい......」。コレクションに盛り込まれたエッセンスを、神尾さんはこんな言葉で表現します。確かに、今回強く感じられるのは、繊細なレースやチュール、シルクで表現された温かさと重厚感。時を超えた創造のエネルギーにインスパイアされ、数多の要素を独自に再解釈した「もうひとつのガルニエ宮」が、ここに誕生したのです。
創造のよろこびが、細部に宿っている。
いくつかの新作を具体的に見てみましょう。matière 04は、オペラの舞台衣装や、きらびやかな宝石をイメージしたコレクション。シンボリックなモチーフのひとつひとつが強いパワーを放ち、豊かな色彩の上品さに魅了されます。『パリ・オペラ座のすべて』で、衣装部のスタッフが、スパンコールをひとつずつ縫い付けていく作業風景を思い出しました。鮮やかなスカーレット・カラーのブラジャーを合わせたコーディネイトも綺麗ですね。
同じコレクションでも、ブラックのシリーズはソワレの表情へと一変します。深く輝くガーネットのような赤のエネルギーで、絶世の美女のオーラをまとうことができそうですし、モチーフの配し方で印象が変わるのも面白い。フォーマル感のある長袖のコートドレス、ネックレスのように胸もとを彩るトップ、そして、クラシカルなガーターベルト。ワコールディアなら、ドレスとジュエリーとランジェリーを、同時に手に入れることができるのです。
matière 03は、華やかなゴブラン織のタペストリー柄を、オペラ座の燭台や"鏡の間"を思わせる、時を経たゴールドで表現したコレクション。宇宙のような神秘的なブルーが、ゴールドの立体感を際立たせています。アイテムによって異なる味わいが楽しめ、透け感のあるボレロなどは、夢のような美しさです。
matière 05は、オペラ座を飾る金細工のイメージで、濃淡のある金のラメ糸に彩られた花柄のレースは、重厚なたたずまいが魅力。このコレクションは、セピアという懐古的な色の美しい解釈でもあります。コーディネイトに風格を与えるストールは、秋の外出にぴったり。パリのような歴史ある街並みを歩きたくなりそうですね。
1669年、ルイ14世の時代に始まったパリ・オペラ座は、2019年でなんと350周年。今年9月からは、記念すべき新シーズンがスタートするようです。この秋、ワコールディアのコレクションをまとってパリに飛ぶ、というお洒落な企画はいかがでしょうか。