水玉が浮上している。

最近、水玉の服をよく見かけます。今年の春夏コレクションあたりからじわじわと目立ってきたでしょうか。ジム・ジャームッシュ監督の最新作『リミッツ・オブ・コントロール』(2009)では、工藤夕貴が水玉の服を着ていました。撮影にあたりブランドものの服などはすべて却下され、彼女が演じた「モレキュール(分子)というコードネームを持つ謎の女」を表現した水玉の衣装が特注されたそうです。
いくつになってもお洒落でかっこいいジャームッシュ監督のセンスはさすが。水玉を使ったスタイリングと、分子科学のことを語っているのに甘く滑らかな印象を残す英語の長台詞で、日本人女性のソフトでミステリアスな色気を見事に引き出していました。
水玉を英語ではポルカドット(ポーランド風ドット)といいますが、名前のもとになったポルカは1837年、ポーランドに隣接するチェコのプラハで最初に踊られたボヘミアンフォークダンスのこと。この辺の人は当時から水玉の服を着ていたようです。柄のルーツは水のパターンに由来するネイビーに白のドットで、ジャームッシュ監督が選んだ水玉も、オーソドックスなこの配色でした。
日本で水玉といえば、アーティストの草間彌生さんが思い浮かびます。昔は「スキャンダルの女王」と呼ばれるほど過激なイメージだったのに、今は「カワイイ!」といわれる存在に。iidaからは今夏、草間モデルの携帯電話が発売されましたし、表参道ヒルズのアートショップ「S AND O」には、ポップな草間グッズがあふれています。
セクシーな水玉。甘い水玉。
先日、パリで9月に開催された「モード・シティ2009」のトレンドセミナーがありました。ランジェリーのパリコレといわれ、世界中から最新の下着が集まる見本市のレポートは、とても興味深いものでした。懐かしさや優しさが感じられる色やプリントが多く見られる中、水玉の下着を発見し、目がくぎ付けに! 洗練されたレトロ感覚というべき水玉のブラとショーツには、ぱっと目を引く華やでセクシーな力があるようですね。これ、ワコールアメリカが今年スタートしたブランド「be tempt'd by Wacoal(ビーテンプテッド・バイ・ワコール)」のものでした。今後、ニューヨークだけでなくパリでも発売されるそうですよ。
一方、国内で今すぐ買えるおすすめの水玉といえば、AMPHIの水玉シリーズです。とりわけ、フロッキープリントのシフォンに揺れるフリルをあしらったブラはインパクト大。このブラには「ホットケーキパッド」という2枚重ねのパッドが入っており、文字通りふかふかでスウィートな仕上がりになっています。
甘さをとことん楽しむならピンクですが、シックな黒やバイオレットも魅力的。私が購入した黒は、甘さは抑えられているものの、本当にホットケーキを胸に抱いているようなつけ心地が新鮮で、こういうカワイイ系の勝負下着もありだなと思いました。これをつければ、水玉とホットケーキの力で新しい恋がスパークするかも!?
参考:"TEXTILE DESIGNS" by Susan Meller and Joost Elffers (Harry N.Abrams.Inc.)

■ be tempt'd by Wacoal:https://btemptd.wacoal-america.com/
■ A by amphi:https://www.amphi.jp/