あの人気デザイナーがランジェリー界へ。

オール・イン・ワンの裾が引き伸ばされたようなドレス。見えないものだった下着を活動的で開放的な現代女性の服として再生させ、1980年代のボディ・コンシャスなファッションを力強く牽引したJPゴルチェらしい作品。
ファッション業界は今、コラボレーションが大ブーム。先日も、ファストファッションのH&Mがランバンのアルベール・エルバスとコラボするというニュースが世界をかけめぐりました。今回は、ランジェリー界における、さらにBIGなパートナーシップの情報をキャッチしましたので、さっそくお伝えしたいと思います。
近年はエルメスのデザイナーも兼任している、あのJPゴルチェが、イタリアの高級ランジェリーブランド、ラ・ペルラとのコラボレーションを発表したのです! ブランドの再編成をおこなったばかりのラ・ペルラですが、JPゴルチェのコレクションは、もちろん最上位の位置づけ。一体どんな展開になるのか、期待が高まります。
JPゴルチェは1976年パリでデビュー。80年代には、コルセットやブラジャーをアウター化したボンデージファッションで下着ルックブームを巻き起こしました。90年代には、映画「フィフス・エレメント」の過激な衣装や、マドンナのコンサートツアーのためにデザインした「コーンブラ」が話題に。先端がとがったこのブラは、ついスナック菓子の「とんがりコーン」を連想してしまいますが、実際のつづりはCORN(=トウモロコシ)ではなくCONE(=円錐形)なのでお間違いなく。
2004年秋冬から手がけているエルメスの仕事は、2011年春夏コレクションを最後に退任の予定。しかしながら、実は水面下でランジェリー界への進出をもくろんでいたというわけなのです。
「パーフェクト」への挑戦。
下着のアウター化の元祖であるJPゴルチェも、下着そのものを本格的に手がけるのは初めてで、これはファッション界における「意外な盲点」であったといえるかもしれません。なにしろこのコラボレーションは、JPゴルチェ本人が「パーフェクトなランジェリーをつくりたい」とラ・ペルラに企画提案したことから実現。大量生産のライセンスビジネスとは一線を画したものであることは確かでしょう。
インタビューの中でもJPゴルチェは「ランジェリーは私のDNAの一部であり、創造的な体験である」「偉大な歴史と最高のノウハウを持つラ・ペルラは、ランジェリー界の貴重な真珠である」などと発言。その本気度がうかがわれます。
さて、気になるコレクションの中身ですが、JPゴルチェらしいマスキュリンでアヴァンギャルドな創造性と、ラ・ペルラらしい究極のフェミニティが結実した手づくりのアートワークといった趣き。フランスとイタリアの先鋭タッグによる、この造形的な強さと美しさを着こなすには、はたしてどんなボディを目指すべきなのか? 妄想は無限に広がりますが、展示会ではまだ写真しか見ることができませんでした。
11月より、世界の高級百貨店およびJPゴルチェとラ・ペルラのブティックで発売が予定され、日本で手に入るのは3月ごろ。価格帯の目安はブラが6〜8万円、ショーツが3〜6万円だそうですよ。試着にはやや勇気がいりそうですが、とにかく早く現物を見てみたい! 希代の吸引力に心がざわめきます。