ウエディングドレスより大切なもの。
2011年春夏コレクションは、ビビッドな色や柄のオンパレード。そんな中で意外にも目立っていたのが、南イタリア伝統の婚礼アイテムからヒントを得たというドルチェ&ガッバーナの「白のコレクション」。ベッドリネンやカーテンを思わせるホワイトレースのドレスや下着には、プリミティブな可愛らしさがいっぱいでした。
おそろいのリネンでドレスと下着とカーテンを一緒につくってしまう昔ながらの手づくり感覚というのでしょうか。婚礼をテーマにしながら、遊び心のある白の表現があるんだなと思いました。とはいえ、現実のフォーマルなウエディングドレスの場合、下着やカーテンとの溝はもう少し深いはず。ウエディングドレスとは、実用性よりも格式が重んじられる究極の礼服なのですから。
近年、ウエディングドレスはレンタルで済ませる人が多いようですね。日常の服とはあまりにもかけ離れた衣装的な要素がつよいからでしょう。いつかは着てみたいという憧れの対象でもありますが、一度着て、写真をたくさん撮れば大満足。所有しようとまでは思いにくいのかもしれません。
では、その人らしさの表現としてのこだわりはどこに現れるのかといえば、身体であり、下着なのではないかと思います。下着こそがウエディングドレスの下、ウエディングドレスの後につけるプライベートな婚礼服。肌や気持ちに近い無垢なドレスとして、その後の生き方につながっていくものなのでは? 先日、WACOAL DIAから生まれた新しいブランドMariageに初めて触れ、そんなことを考えさせられてしまいました。
ブライダルインナーは主役である。
ナイトドレス、ローブ、キャミソール、ペチコート、ビスチェ、そしてブラとショーツ。
従来のブライダルインナーのイメージを覆すWACOAL DIA Mariageのラインナップは、女性の夢を追求したもの。この軽さと繊細さは、きっと天にものぼる心地よさでしょう。真新しい風合いとカラーを大切にするため、注文を受けてからつくられるそうで、ドレス選びよりも、こちらのほうに力が入ってしまいそう。
写真でご紹介したカラーは、オールドイングランドローズをイメージしたピンク系。ほんのり頬をそめた透き通るような肌にみせてくれるシンボルカラーですが、このほか、繭の色に近い天然のシルクカラーもあり。清楚でありながら単純な白とは違う、意味のある微妙な色調を取り入れた功績は偉大です。
WACOAL DIA Mariageには、結婚式をしない人、ウエディングドレスを着ない人にとっても、これだけはほしいと思わせる魅力がありますね。ブライダルインナーは、ドレスを美しく演出する存在でもありますが、脇役というわけではない。新婚生活やハネムーンなどのプライベートなシーンにおいて、メインで着用すべき主役への広がりをもっているのです。
結婚が決まった家族や友人へのプレゼントにもいいなと思いました。それは、ドレスを脱いだあとの、もっとも個人的でもっとも大切なお色直し。月夜の下、ナイトドレスをまとった写真をひっそりと撮影しようものなら、結婚式の公式ショットより、ずっと深く、記憶に刻まれるものになるにちがいありません。
■そのほかのワコールブライダルインナーはこちら :https://www.wacoal.jp/bridal/