魅惑のランジェリーエッセイ 上流下着のつどい Upper Inner Salon|ワコール

26 Sep, 2012

もうひとりの意外な私

機能とセクシーが両立するランジェリー。

IMPLICITE 2013春夏コレクションより<br>セクシー・キット(ブラック、ホワイト、レッド)
IMPLICITE 2013春夏コレクションより
セクシー・キット(ブラック、ホワイト、レッド)

 ようやく涼しくなったかと思えば、世界のモードは既に来年の春夏コレクションです。私もインポートランジェリーの春夏展示会を見てきましたが、その中でひときわ目を引くコーディネートがありました。ブラ、コルセット、ショーツに加え、ブラインドフォールド(目隠し)とウィップ(鞭)がアクセサリー的にセットされた「セクシー・キット」。フランスのランジェリーブランド、IMPLICITE(アンプリスィット)によるものでした。
 先日開催されたニューヨークの春夏プレタポルテコレクションは、ご覧になった方も多いかと思います。アレキサンダー・ワンやジェイソン・ウーによるボディコンシャスなレザー使いや未来的なシースルールックが印象的でした。この「セクシー・キット」は、そんなアウターのトレンドと同期するスタイリッシュさが、まさに最先端。肌をデザインの一部として見せるなど、装飾をそぎ落としたミニマリズムが追求されています。

 こんなキットを装着したら、どんな気分になるのでしょう。ハードさは抑えられ、上質な素材を使っているため着心地はよさそうですが、リラックス感が得られるというよりは、闘争ホルモンのアドレナリンが分泌されそうですね。シェイプウェアではないのに、身につけるだけで引き締まりそうな緊張感のあるボディコンシャス。ランジェリーの2つの流れであるセクシー系と機能系がひとつになったような完成度の高さです。
 つまりこれは、もはや心理的なシェイプウェア。セクシーという概念そのものに機能があることの発見ではないでしょうか。アウターもランジェリーも、身につける以前に「いつこれを着よう?」と考えながらお買い物をする時点で、興奮が頂点に達してしまう経験は誰にでもあるはず。セクシーなモードには、恋愛効果に匹敵する力があることを改めて認識させられました。

相反する組み合わせで世界はひろがる。

 「セクシー・キット」とともに気になったのが、同じくIMPLICITEのブラとショーツ。ブラは、1/4カップにソフトなストレッチレースを重ねてありますが、めくるとバストトップが露わになる趣向。もちろんストレッチレース部分を最初から大胆に外してしまってもOKです。ヒップの割れ目を見せてしまうショーツのデザインと呼応した、上品さと危険さのバランスが絶妙です。
 このような一見相反する要素の掛けあわせは、オリジナリティの創造に欠かせないもの。2013年の傾向としては、「機能×セクシー」「上品×アンモラル」のほか「フューチャー(未来)×レトロ(過去)」「引き算(ミニマリズム)×足し算(アクセサリー)」「ハード(重厚な素材)×ソフト(穴を開けるなどライトな使い方)」「異素材の組みあわせ」などがカギになりそうです。

 掛けあわせの考え方は、個性を発見するヒントにもなるでしょう。まずは自分の中の矛盾を探し出すこと。たとえば「保守的な会社に勤めている人」は多いと思いますが「保守的な会社に勤めているのに、外見はとてもそうは見えない人」は少数派かもしれません。「一見清楚なのに大胆な下着を着ている」とか「同僚には言えないような特殊な趣味をもっている」とか、何でもいいのですが。
 意外な一面は、恋愛においては自分を印象づけ、相手を落とす武器にもなるでしょう。共通点だけが人を結びつけるわけではないのです。私は先日ある人に会い、この人とはまるで接点がないなと感じたのですが、ふと「この人は自分にないものをすべてもっている人だ」と思った瞬間、ぱっと何かが開けるような気がしました。日頃から、自分のイメージと違うものを身につけたり、味方にすることができれば、毎日が飛躍的に楽しくなりそうですね。

IMPLICITE 2013春夏コレクションより
1/4ブラとバックスタイルが大胆なショーツ

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