ショーパンブームに誘われて。

これからが寒さ本番というのに、次の猛暑のことを考えるのは鬱陶しいですか? それとも待ち遠しい? ファッション界では今「ミックス&マッチ」が流行っていますが、夏を思わせる明るい配色や薄着の人を見かけることも多いこのごろ。価値観の多様化とともに、季節感も年々自由になってきているようです。不安定な気候やその日の活動に合わせて、臨機応変に対応しなくてはならない事情もあるでしょう。
ショートパンツも健在です。夏にはお尻が見えそうなマイクロショーパン姿の女の子が街にあふれた2012年でしたが、セクシーなイメージからは遠かったような気がします。ミニスカートなら、短くなればなるほど「下着が見えそう!」「中はどうなっているのか!」とハラハラさせるはず。だけどショートパンツには、ボーイレングスの下着のように、あっけらかんとしたカジュアルで健康的なイメージが定着しているからだと思います。
男性の短パンの流行も大きいですね。いまだに丈がどんどん短くなっているし......。私が初めて「マイクロショーパン男」に出会い衝撃を受けたのは、一昨年の春でした。場所は南青山のスタバ。いかにもファッションおたくといった中年男性で、もちろん足はつるつる! 日本ではスギちゃんや箭内道彦がショーパンブームを牽引している感じもありますが、最初にメンズのパンツ丈を短くした人といえば、NYコレクションのトム・ブラウンです。
2013年夏、スーパークールビズはますます自由化するのでしょうか。ギャップやアバクロ、トミーヒルフィガーなどのアメリカンなブランドは、軽快なシルエットに加え、さまざまな幾何学柄のミックスやジューシーカラーを打ち出しており、勢いがありますね。色と柄の大胆なコントラストやルールを逸脱したゆるさは、アメリカならではの魅力だと思います。
ショーツをあえてハズすのがNY流。
下着の世界でこれらに該当するのが、NY生まれワコールアメリカの「b.tempt'd(ビーテンプティッド=誘惑される)」というブランド。ブラとショーツをセットだけではなく、ハズして楽しもうという提案をしているのです。デザイナーのケイティによると「アメリカの女の子はミックス&マッチするのが好き。ピンクのレースブラとピンク&ブルーの水玉ショーツを合わせたり、真っ赤なサテンブラに赤のトリムのアニマルプリントショーツをコーデしたり色々よ」とのこと。
たとえば写真のブルーのブラには、同色・同素材のショーツのほか、ウエストまわりをダブルフリルと白いサテンリボンで飾ったメッシュのドットプリントのショーツを合わせてみる。素材も柄も装飾もミスマッチですが、色が同じなのでセンスよく可愛さがアップしますね。ループレースを使ったスウィートなブラも、ベーシックなフリルのボーイレングスを合わせれば、お揃いのショーツでばっちり決めたときよりも新鮮なイメージが生まれます。

NY風でありながら、パリのロマンチックな女の子のイメージをプラスしたシリーズ
慣れてきたら、まったく違う上下の大胆なコーディネートにも挑戦したくなりそうです。スーツだって、ジャケットとスカートをバラバラに使うと飽きがこないし、ワードローブが広がりますよね。ちなみに写真のブルーのブラは、谷間をアピールするプッシュアップタイプで、ストラップの背中部分にはストレッチレースが使われており、バッククロスにもできる優れもの。機能的なNYファッションのDNAが感じられ、単品でも魅力的なアイテムです。
「b.tempt'd」、ブランドサイトにアクセスして「マンハッタンに住めるってとっても幸運...この街では毎日何かが起こっているの」というケイティの言葉をぜひ聞いてみてください。NYでブティック巡りやアート巡りをしたくなりますよ。4月14日から8月5日までNY近代美術館(MOMA)で開かれるクレス・オルデンバーグ展は要チェック。彼はかつて「ミニスカートとブーツの間の生足部分」を彫刻作品(London Knees 1966)にしてしまったマニアックなアーティストです!
■ワコールアメリカのb.tempt'dサイト:https://btemptd.wacoal-america.com/