楽園から追放された下着。

春夏のファッションプランはもう決まりましたか? 今シーズンはシースルーやメッシュ、丈の短いトップスなどが流行りそう。背中、おなか、そして下着の見せ方をかなり意識する必要がありそうですね。アウターのトレンドにあわせて、ランジェリー計画もぬかりなく立てておきたいもの。バレンタインデー、ホワイトデーが終われば、いよいよ「私にリボンをかけてプレゼント!」の季節到来なのですから。
セクシーランジェリーの代名詞といえば、まずはアンプリスィット。2007年にシモーヌ・ペレールの姉妹ブランドとしてデビューして以来、期待を裏切ることはありません。展示会では毎回「どうやって着るの?」という話で盛り上がり、最終的には「これを着こなせる体になりたい!」と各自に思わせるパワーがある。アンプリスィットをまとったトルソーは、熱い視線を一身に集めるセクシー・アイコンなのです。

コレクションのタイトルも「タリスマン(魔よけ)」「オブセッション(執念)」「インテュイション(直観)」など、妄想をかきたてるものばかり。今シーズンのメインコレクション「イリシット(禁断)」は「パラダイス(楽園)」のダークサイドであると説明されていました。禁断の果実を口にしたアダムとイブが、恥ずかしさの概念を知り、イチジクの葉で腰を覆い、楽園から追放された創世記の物語が思い出されます。
アダムとイブがまとった人類最初の下着がイチジクの葉であるなら、アンプリスィットのイリシット(禁断)シリーズは、まさにセクシーの原点。うっすらと肌が透ける葉脈のようなデザインやストラップ使いの巧みさは、シモーヌ・ペレールの血統を受け継ぐ高貴な官能。グラフィカルなジオメトリックパターンを得意とするブランドならではの、生命の根源に迫る美しさといえるでしょう。
SEXYがARTになる瞬間。

グラフィカルな柄がいかに女性の体をセクシーに見せるかを教えてくれたのは、世界的に有名なパリのナイトスポット、クレイジー・ホースのヌードショウでした。「ファイアbyルブタン」「クレイジーホース・パリ〜夜の宝石たち」などの映画でご覧になった方も多いと思います。ヌード・オブ・ザ・アート(裸の芸術)と呼ばれる理由は、ダンサーの体にさまざまな光のパターンを映し出す照明技術にあるのです。
クレイジー・ホースと同様、パリを拠点とするアンプリスィットは、ランジェリー・オブ・ザ・アート(下着の芸術)と呼びたいですね。ワコールのウェブストアでも、かなりの数のアイテムが購入できるので、ぜひアクセスしてみてください。そしてレッグアートを楽しみたい方には、草間彌生のアーティスティックな柄のタイツやソックスが登場したという朗報も。こちらはスパイラル オンラインストアでの限定販売です。
先日、ある本の中に「放下着」という言葉を見つけ、ドキっとしました。一瞬、下着を脱ぎ捨てようというスローガンのように思えたのですが、そうではなく、禅用語で「ほうげじゃく」と読むのだそう。放下は一切の執着を捨て去ることで、着は目指す場所に行き着くこと。つまり禅の悟りの境地です。私たちは、下着への執着や固定観念を放下することで、新しい自分に出会えるのかもしれません......。
社会的に認知されている自分らしさにこだわるのも大切ですが、時にはそれらを捨て、進むべき道を本能的に選んでみることも必要なのではないかと思ったのです。無難な社会性へのこだわりを捨てたとき、あなたにはどんな下着がふさわしいのか? アンプリスィットが教示するインテュイション(直観)に素直に従えば、ごく自然に、セクシーなステージの高みへと導かれるのではないでしょうか。
■スパイラル オンラインストア:https://store.spiral.co.jp/