魅惑のランジェリーエッセイ 上流下着のつどい Upper Inner Salon|ワコール

20 Mar, 2014

カワイイの原点はボロルック?

世界が認めた日本ファッションを7都市で展示。

Future Beauty 日本ファッション:不連続の連続<br>2014年3月21日~5月11日 京都国立近代美術館
Future Beauty 日本ファッション:不連続の連続
2014年3月21日~5月11日 京都国立近代美術館

  日本発ファッションの創造性を読み解く「Future Beauty 日本ファッション:不連続の連続 」展が京都国立近代美術館で始まりました。既にロンドン、ミュンヘン、東京、シアトル、セーラムを巡回し、秋にはオーストラリアでの開催が予定されているという人気ぶり。以前、東京編をレポートしましたが(037「ファッションという事件」)、今回は京都ならではの展示もプラスされているそうなので、ぜひ再見したいです。
 これに先立つ形で3月11日、国際日本文化研究センターのフォーラム「めぐりめぐる日本文化」が京都で開かれました。リトアニアのミコラスロメリス大学准教授の高馬京子さん、ドイツのハイデルベルク大学教授のハラルド・フースさんが日本のポップカルチャー論を展開。今回の展覧会のキュレーターでもある服飾研究家の深井晃子さんからは、日本発ファッションが世界に与えた意義についてのレクチャーがありました。

 1982年、川久保玲と山本耀司がパリで発表した服は衝撃的でした。保守系日刊紙ル・フィガロは「穴があき、ぼろで、やぶれて、まるで核戦争で生き残った人の服のよう」「爆弾に襲撃された後のようにぼろぼろになった服」と酷評。しかしワシントンポストは「山本と川久保は、美のまったく新しい道を示している」と評価しました。西欧の伝統的な美の価値観とは相反する斬新なファッションは、たちまち賛否両論の嵐を巻き起こしたのです。
 「新たな文脈から生まれた日本発ファッションは、西欧という中心軸を分散させる可能性を示した」と深井さんは総括します。世界に揺さぶりをかけた「ボロルック」がやがて脱構築というキーワードで認められ、ポップカルチャーとの結びつきを経て新世代に継承され、「カワイイ」という言葉が世界に広まるに至ったプロセス。Future Beauty展は、こうした日本発ファッションの歴史とその後の姿を、再び世に問いかけるものなのです。

アンディ・ウォーホルがデザインしたローリング・ストーンズのアルバムジャケット。
左の「スティッキー・フィンガーズ」(1971)は本物のジッパーが付いた輸入LP盤。

1981年にスタートした東京発のランジェリー。

 1980年代前半の日本といえば、いわゆるポップカルチャーが花開いた時代。広告の分野にも右肩上がりの勢いがありました。森美術館で5月6日まで開催中の「アンディ・ウォーホル展 永遠の15分」では、米国ポップアートの旗手、ウォーホルが日本語を話すTDKのビデオテープのCM(1983)を上映中。来日時に本人が集めた浮世絵の複製品や、桂離宮の周辺を散策するスナップ写真なども初公開されており、ファンにはたまりません。
 コムデギャルソンは昨年、ウォーホル作品をテーマに限定アイテムを出しましたが、ボロルックからの変遷に思いを馳せずにはいられないエッジィな可愛さでした。生前も多くのアーティストとコラボしたウォーホル。中でもローリング・ストーンズのLPジャケットはお宝です。ジーンズのジッパーを開くとウォーホルの名前が入った白いブリーフが見えるというもの。当コラムとしては高く評価したいですが、当時は卑猥だと物議を醸したそうですよ!

STUDIO FIVE 2014 SPRING&SUMMER COLLECTIONより
左)3/4カップブラとソング(Tバック)(4月発売)
右)3/4カップブラとボーイレングスショーツ(6月発売)

 日本発ファッションが世界を驚かせた1980年代前半、下着はどうなっていたのでしょう。ワコールは1981年、米国ワコールを設立し、本格的なアメリカ進出に着手しました。一方「ワコールとは別部隊で」というコンセプトのもと、東京発のブランド「スタディオファイブ」が設立されたのも同じ年でした。ネーミングの由来は「ワコール営業5部のスタジオ」。ウォーホルがニューヨークに構えたスタジオ「ファクトリー」を思わせるかっこよさですね。
 スタディオファイブは、繊細な刺繍と大胆なデザイン、贅沢なレース使いのランジェリーを東京から発信し続けています。ポップアートのニュアンスも感じられる2014年春夏コレクションは、アゲハ蝶の羽やヒマワリのモチーフが鮮烈です。ファクトリーで刺激的な作品が続々と生み出されたように、スタディオファイブというブランドには、1980年代から受け継がれたものづくりの精神が脈々といきづいているのだと思います。

■Future Beauty 日本ファッション:不連続の連続
 京都国立近代美術館:http://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionArchive/2013/401.html
 財団法人 京都服飾文化研究財団:https://www.kci.or.jp/exhibitions/fb/index.html

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