ランジェリーをまとった人魚たちのパーティへ。
「Body Aquart(ボディアクアート)」と題されたインスタレーション・パーティへ行ってきました。ワコールの広報・宣伝部が企画したイベントです。テーマは水。幻想的な雰囲気の中、ブルーやキラキラのアイテムで着飾ったスタッフが案内してくれました。スパークリングワインにライチのリキュールを加えたカクテル「スパークリング・マーメイド」をひと口飲むと、たちまち水の世界へ誘われます。
会場にはマーメイドと呼びたい個性的なマネキンがいっぱい。最初に迎えてくれたのは青い瞳のマーメイド。ブルーのバラが咲き誇るレースのランジェリーをまとい、足首のフリルは尾ひれのよう。彼女たちは皆、思い思いのポーズで水の世界を表現しているのです。清楚な桜色のマーメイドは水中で夢を見ていますし、鮮やかなプリント柄につつまれた双子のマーメイドは浮遊するように踊っています。
アンニュイなマーメイドは水の底で何を想っているのでしょうか。ペチコートのシャンティレースの広がりがきれいでした。新しい表情やポーズでランジェリーの魅力が引き出されるのは楽しいですね。髪が水に流れてなびいていたり、メイクが濡れたように光っていたり、一人ひとりが魅力的に演出されています。フィナーレを飾るのは、クリスタルをちりばめたビスチェで舞うマーメイド、そして光をあやつるスパークリング・マーメイド。
このインスタレーションは、2015年のワコールカレンダーの世界観につながっていました。撮影のメイキング・ムービーを見ながら、カレンダーの6つのビジュアルに合わせたスイーツやアペタイザーが味わえるという趣向。青が効果的に使われており、フォアグラのテリーヌにはブルーのジュレがトッピングされ、ローズをかたどったクレームシャンティにはブルーのナパージュがきらめき、マッシュポテトのチップまでが鮮やかなブルー!
ベルギーで撮影されたファンタジー。
2015年のワコールカレンダーのテーマは、重力から解放された水の中で女性のからだの美しさを表現した「Body Aquart(=水とからだのアート)」なのでした。撮影を手掛けたのは、水中撮影を得意とするベルギーの写真家、ハリー・フェイト氏。水の浮力によってリフティングされたバストやヒップ、水圧でひきしまったウエストや手足、うるおいに満ちた肌など、CGなしのリアルな撮影とは思えないほどファンタジックです。
女性なら誰もが一度は「下着で泳いでみたい」と妄想したことがあるのではないでしょうか。そんな夢を軽やかに実現してくれたのはベルギー出身の双子のモデル、オロールさんとアリスさん。美しいランジェリー姿で、人魚さながらの伸びやかな動きを披露しています。ランジェリーはすべて、カレンダーのためのオリジナル。撮影はブリュッセルのクラシカルな室内プールでおこなわれたそうです。
ベルギーと聞いて、まずはチョコレート、次にアントワープのダイヤモンド、それから「青い鳥」を思い出しました。ノーベル文学賞受賞作家、モーリス・メーテルリンクの有名な戯曲で、日本でも知らない人はいないでしょう。チルチルとミチルの兄妹がクリスマス・イブの夜、幸福の象徴である青い鳥を探しに出かけたものの、なかなか見つからない。結局のところ、それは自分たちの家の中にあったというお話です。
「青い鳥」の物語は、見る人の心の状態によって、同じものが違う色に見えることを暗示しているのですね。私はBody Aquartを見て、ランジェリーも心の状態を映す鏡かもしれない、と思いました。いきいきとした気分の日は、からだもみずみずしく感じられ、ランジェリーをさらりと自由に着こなせるような気がするのです。2015年、私たちが探し求めているものは、意外と身近なところにあるのかもしれません。