目に美しく、肌に溶け込むコレクション。
トレフルのランジェリーには、いつも特別なオーラを感じます。その理由のひとつは、40年を超えるブランドの歴史ではないでしょうか。トレフルが誕生したのは1977年。経済の発展とともに女性が社会へ進出し、自立した自由な女性を意味する「とんでる女」が流行語になった年。ファッションにも勢いがあり、女性像が多様化する中で生まれた高級ブランドでした。シルクなどの高級素材も初めて使われたそうです。
「とんでる女」が当たり前になったともいえる今、2019年春夏コレクションで目を引いたのは、カプリ島のリゾートをイメージしたというサマードレス風の紺のスリップ。キョウチクトウの花の立体感と光沢が美しく、展示会で行われたショーでは、モデルさんがターンしたときの裾の広がり方がとてもキレイでした。一見スリットが入っているように見えましたが、チュールでつながっているんですね。同じデザインの白のスリップも、カプリ島の白い街並みを思わせる上品さです。
細部のデザインのひとかたならぬこだわりは、トレフルのDNAというべきもの。肌に溶け込む繊細なレースや優美なフォルムは、ため息が出るようなつけごこちのよさにつながっています。胸もとのレース紐が美しいブラ、こぼれるように花が咲き誇るブラなど、精緻な技術に裏打ちされた芸術品のようなブラたちは見飽きることがなく、実物にふれれば感動はひとしお。プレステージブランドの名にふさわしいコレクションでした。
ショーを見てわかったのは、つけたときにその美しさが倍増すること。肌に映える色、レースの輝きと透明感、ボディラインを美しく見せるシルエット、心を奪われるバックスタイルなど、計算された美学がそこにありました。展示会では、最新のコレクションが完成するプロセスを紹介したホットな動画も見ることができ、技術力の高さに目を見張りました。トレフルの真価は、熟練の手作業の集積から生まれるものなのだと。
「クラフト オブ トレフル」で知る、スゴイ技術。
「クラフト オブ トレフル」と題された動画は、店頭などでも公開。ランジェリーづくりのこだわりがコンパクトにまとめられているので、多くの人に見てもらいたいなと思いました。まずは本社内でのデザイン作業から始まり、素材やカラーのセレクトやオリジナルのレースデザインのクリエーションなどを垣間見ることのできる内容になっています。デザインが完成したら、パタンナーの手で細部の設計に息が吹き込まれます。
その後、工場で行われる縫製は、繊細な素材に合わせた独自のルールに基づいたもので、通常のワコール製品に比べて、縫い目の幅はより狭く、針目の数はより細かく定められているとのこと。続いてのカットワークは、デザインや見え方を考えて必要な部分だけを残す作業ですが、縫い目から残す布幅はほんのわずか。見た目の美しさはもちろん、生地に残る布幅を狭くすることで、肌あたりのやさしさまで考えられているのです。
工程ごとのアイロンがけも、初めて知ることでした。細部まで高い完成度でつくられるトレフルのランジェリーは、緻密な技術が必要となるため、縫製時にはラインが美しく整い、規格通りに仕上がっていることが重要。ひとつの工程を経るごとにアイロンをかけて整えるのは、美しさの鍵を握る大事なプロセスなのですね。大量生産の工場とは異なる世界を見て、改めて、丁寧につくられたランジェリーを大切に着たいと思いました。
クローゼットをあけたとき、トレフルのランジェリーが醸し出す特別なオーラ。その秘密が改めてわかったような気がして、宝物のように大切にしている過去のコレクションを、改めてじっくり鑑賞してしまいました。年末が近付くと、みなさんも大掃除という名のもとに「下着のアップデイト&鑑賞タイム」が増えるのではないでしょうか。ランジェリーコーナーだけは、いつも最高の状態に。それだけで運気は上がりそうです。いいものを選んで、毎日を特別な日に!
■「ランジェルック」でコーディネイトを楽しもう!
https://www.wacoal.jp/tudoi/2017/10/100.html