お父さんも知っておきたい!
前回の「お父さんにも分かりやすく解説!
女の子のからだの変化と『初めてのブラ』選び」では、
女の子のからだの変化についてデータをもとに解説しました。
また、成長のスピードには個人差があるため、
からだとこころが大きく変化する時期の娘さんを、
お父さんがしっかりと見守り、
寄り添ってあげることが重要だとお伝えしました。
今回の記事では、お父さんと娘さんが
良好な関係を築くことの大切さについて説明しながら、
現代の女の子の価値観を目白大学の小野寺教授監修、分析のもと作成した
「10歳キラキラ白書2019年度∕2020年度版」のデータをもとに
分かりやすく解説します。
父親の家事参加は、
娘との関係を深めるチャンス
ワコールでは2016年から毎年、3月3日のひな祭りの日に向けて、
10歳前後の女の子を中心にした意識調査を実施・分析した
「10歳キラキラ白書」を発表してきました。
2019年度の調査では、特に「父親と娘との関係」にフォーカスしました。
10歳から16歳を対象に父娘のコミュニケーション(会話する、一緒に外出する)
量を数値化して分析したところ、
10歳の頃が最も多いという結果に。
10歳以降のコミュニケーション量はどんどん下がっていき、
16歳が一番低くなっています。
10歳前後の女の子は、月経や胸のふくらみといった第二次性徴を迎えます。
こころも成⻑し、友達との関わりを深め、
親とは少し距離を置き始める時期でもあります。
そのため、お父さんと娘さんの距離はどうしても離れてしまいがちです。
10歳の頃の関係性をしっかりと築いていくことが、
将来の父娘の良好な関係をキープすることに繋がるのです。
また、父娘のコミュニケーション量が多い父親は、
家事への参加度が高いとの結果も出ています。
裏を返せば、お父さんが家事参加をすることで
娘さんとのコミュニケーションが深まるとも言えるでしょう。
お父さんが積極的に家事に取り組む姿は、
娘さんが「お父さんと話したい」と思えるきっかけになるかもしれません。
イマドキの女の子は、
働き続けたい願望が高い
同じく「10歳キラキラ白書 2019年度版」で将来像について聞いてみると、
「仕事は一生続けたい(37.9%)」が
「仕事をして、結婚したら仕事はやめたい(23.6%)」より多い結果に。
また、「仕事はせずに、すぐ結婚したい」という回答はたったの2%でした。
働き続けたいと思う女の子が一番多い結果となったのは、
アンケートに回答した女の子のお母さんの
7割以上が働いていることが影響していると考えられます。
家庭内に「仕事も家庭のこともシェアしましょう」という平等意識があり、
働くお母さんの姿を見ていると、娘さんも「働きたい」という願望を
自然に持つようになるのかもしれません。
つまり、母親が働くことが、
子どもの「非伝統的性役割観」に影響を与えていると言えます。
「性役割」とは、その性別に対して社会に期待されている役割を差します。
「伝統的性役割観」は「性役割」の考え方の一つで、
例えば「女性は結婚したら仕事をやめるもの」
「家事・育児は女性がやるもの」といった考え方です。
一方、「非伝統的性役割観」はその逆で、
例えば「女性は結婚しても働き続けるもの」という考え方になります。
前の章でお伝えした「父親の家事参加」も、
子どもの「非伝統的性役割観」に大きな影響を与えます。
男性が自然に家事をすることで、
子どもは「男性も家事をするもの」と思うようになり、
「非伝統的性役割観」が育まれるのです。
ただし、「非伝統的性役割観」を育む要素として
「母親が働いていること」「父親の家事参加」を取り上げましたが、
あくまでもこれは一例です。
近年のジェンダーレスの流れも背景に
それぞれのご家庭のペースで、何事にも男女が平等に関わっていくことで、
親世代と子世代の「性役割観」のギャップは
埋めることができるのではないでしょうか。
データで見る、
現代の女の子の価値観
ここからは「10歳キラキラ白書 2020年度版」のデータをもとに、
イマドキの女の子の価値観について解説していきます。
10歳をより深く知るために、
女子だけでなく男子にも注目し、
男子と女子の実体を比較した2020年度版の結果には、
お父さんたちが「意外だな」と感じるような内容もあるかもしれません。
データを一緒に見ていきましょう。
「チャレンジをするのは好きか」
「失敗を恐れずにやってみようと思うか」
という意識調査の結果を得点化し、平均値を算出。
その数値を「チャレンジ得点」として10歳から14歳を比較してみると、
10歳は他のどの年齢群よりも男女ともに
チャレンジ精神が旺盛であることがわかりました。
また、10歳の段階では、チャレンジしたい気持ちは
男の子より女の子のほうが高いという結果になりました。
チャレンジしたい気持ちは男女ともに10歳がピークとなり、
年齢が上がるとともに減っていくようです。
チャレンジ意欲を下げないためにも、子どもの背中を押してあげられるような、
ポジティブな声かけが大切です。
10歳のジェンダー意識(例:男子が人前で泣くのはかっこ悪いと思うなどの
<○○らしさ>)を調査したところ、
「男子は男らしく、女子は女らしくするのがいいと思う?」という質問に対して、
女子の57.6%が「そう思わない」と回答。
半数以上の女の子が、
「女の子らしさ」にこだわっていないことが分かりました。
一方で、同じ質問に対して男子の7割以上が「そう思う」と回答。
また、「男子が人前で泣くのはかっこ悪いと思う?」との問いにも、
男子の約7割が「そう思う」と答えており、イマドキの10歳は女の子よりも
男の子のほうが「らしさ」を強く意識していることが見えてきました。
「男子が人前で泣くのはかっこ悪いと思う?」の問いに対して、
女子の約7割が「そう思わない」と回答していることから、
女の子のほうが「らしさ」にこだわらない
フラットな感覚を持っているようです。
また、前述で触れたように、イマドキの10歳は
男女ともに8割以上が「男子の家事参加」を当然だと考えており、
ジェンダーレスの意識が高まっている結果となりました。
「自分のことが好きですか?」という質問に、
10歳男子の約9割が「好き」と答えたのに対して、
10歳女子は約6割にとどまり、男女で大きな差が見られました。
また、年齢が上がるとともに「好き」と答える割合が少なくなっていく傾向は、
男女ともに表れています。
自己肯定感を下げないためには、子どもの良いところを見つけて
ポジティブな声かけをしていくことが大切です。
特に、周りの大人が、男の子よりも女の子の自己肯定感が低くなる傾向が
あることを意識した上で、父娘のコミュニケーションを大切に。
10歳の女の子の
イマを知ろう!
娘さんがどんなことに興味や関心を持っているのか、
お父さんはどれくらいご存じでしょうか。「10歳キラキラ白書 2020年度版」の
データをもとに、10歳の女の子のイマをひもといていきます。
「今、恋をしている?」という質問に対して、6割以上の女の子が「恋してる」と回答。
一方、「恋してる」と答えた男の子は約2割にとどまりました。
イマドキの10歳は、男子よりも女子のほうが「おませさん」なのかもしれません。
「洋服で一番好きな色は?」との問いでは、女の子の一番の人気カラーは黒。
ちなみに、2019年度版でも第1位は黒でした。
昔は「女の子はピンク、男の子はブルー」という印象ですが、
ここにも世代ギャップがみられる結果となりました。
「今やっている、過去にやったことのある習いごとは?」という質問では、
女の子は1位が学習塾、2位がピアノ、3位が水泳との結果に。
男の子は1位が水泳、2位が学習塾、3位がサッカーという結果になり、
2020年の調査では勉強系に加えて男子は運動系、
女子は文科系が人気であることが分かりました。
まとめ
ここまで、「10歳キラキラ白書 2019年度/2020年度版」のデータをもとに、
現代の女の子が持っている価値観や、
親子のコミュニケーションの大切さについてお伝えしてきました。
お父さんが「意外だな」「知らなかった」と思うような
データも多かったのではないでしょうか。
父娘の良好な関係をキープしていくために大切なのは、
お父さんが娘さんに寄り添い、気持ちを理解しようと努めること。
そして、「男性だから」「女性だから」といった概念に
とらわれないことではないでしょうか。
娘さんが「女の子らしく」よりも「自分らしく」輝いて生きていけるように、
からだとこころの成長をこれからも温かく見守ってあげてくださいね。